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シロアリ駆除/予防の素人DIYについてまとめました

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土地を購入したら床下をシロアリに食われた古民家がおまけでついてきました、まねきねこです。

放置されていずれ朽ち果て崩れる運命だった古民家ですから、ダメ元で素人修復を実践中!今回はシロアリ駆除&予防について、基礎知識を勉強したまとめです。

※シロアリ駆除には各社の考え方や技術ノウハウがあるようで、資料によって記載内容に若干バラつきがありました。それを私なりに整理して一本筋を付けたものです。悪しからず

基礎知識

シロアリの種類

日本で家屋に被害を与えるシロアリは主に2種類。ヤマトシロアリとイエシロアリ。そのうち、ヤマトシロアリの被害が8-9割で1-2割がイエシロアリ(この2種で99%以上)。他にはアメリカからやってきたアメリカカンザイシロアリなんていう凶悪なシロアリの被害もありますがそれはレアケース。基本的にはヤマトシロアリの被害が大多数ということです。

次にそれぞれの特徴について。

ヤマトシロアリ
  • ほぼ日本全国に生息
  • 4-5月の午前~昼に羽化して地上に現れる
  • 活動範囲は狭く(数メートル)、コロニー(群れ)が小さい(数万匹)ので被害の進行は遅い
  • 湿った木材を好み、水回りの床下に被害が集中しやすい
  • 生態は移住型で、食害している場所が巣のようなもの。居心地が悪くなれば(外敵襲来とか、環境の変化)よそへ逃げていく、臆病な性格。
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左から兵隊アリ、働きアリ、羽アリ

(熊本シロアリ駆除.comより)

イエシロアリ
  • 関東以南沿岸部と西日本に多く生息
  • 6-7月の夕方~夜に羽化して地上に現れる
  • 活動範囲が広く(〜100メートル)、コロニーが大きい(100万匹にも)ので被害が急拡大しやすい
  • 自ら水を運ぶことで乾燥した木材も食害していく(家全体に被害が及ぶ)
  • 生態は定住型で、特定の巣を作る。また、家屋を食害するときに中継基地(分巣)をつくることも。巣を持ち外敵から巣を守ろうとするため攻撃的
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左から兵隊アリ、働きアリ、羽アリ

(熊本シロアリ駆除.comより)

シロアリ被害を疑う兆候

基本的にはシロアリは湿気を好むことと、土の中で生活していることから、床下が被害の中心になります。

  • 床がぶかぶかしたり、へこんでくる
  • 床下から羽アリが部屋に現れた
  • 窓や戸の建て付けが悪くなった
  • 柱を叩くと空洞音がする

こんな状態になったら被害が相当進んでいる可能性大。プロの駆除業者に調査を頼むべきです。素人DIYの場合は、現状は被害がなく、予防を自分でやりたい場合に限るんじゃないでしょうか。

ちなみに、こちらは我が古民家(購入時点でウン十年放置)の畳がシロアリ被害で沈んだ様子。普通のお宅ならここまでなる前に気付くでしょうが・・。

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畳をはがすとこんな感じ。木材がスカスカのボロボロです。見るも無残。個々はちっぽけな存在だけど、みんなで力を合わせれば大きなことを成し遂げることができる!なんて美学をシロアリでは語りたくないですね、、。

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シロアリの駆除と予防

薬剤に頼る前の環境整備

まず被害を出さないためには、第一にシロアリの好む湿気った環境をつくらないことと、定期的な床下チェックによる早期発見が基本。薬剤はその上での対応になります。

  • 家の基礎周りを乾燥した通気の良い環境に整える(植木鉢や段ボールなど物を置かない)
  • 雨漏りを放置しない
  • 気づきにくい床下の水漏れに注意する(水回り、特に在来工法の風呂場)

床下のチェックでは、湿気やカビの有無、水漏れの有無をチェック。特にタイル張りの風呂場は年月が経つと地震などでひび割れが生じ、床下に水漏れが起きるリスクが高いです(我が家も漏れていました)。床下に湿気があれば対策しないと早晩シロアリがやってきます。また、下の写真のように、基礎や束柱に土のようなものでできたすじ(蟻道:ぎどう)があるかどうかもチェック。あればシロアリがすでに来ている確実な証拠なので薬剤による駆除が必要になります(ちなみにこれは我が古民家の床下(泣)立派な蟻道でしょ?洒落になりませんが)

 

基礎周りと床下の環境を整えた上で、薬剤による対策は次のとおりです。

バリア法

床下の木材や土壌に薬剤を全面塗布(散布)して、食害しにやって来たシロアリから家を守る(バリアする)方法。

〈使用薬剤〉

シロアリが触れることで毒性を発揮して駆除効果がある薬剤を使用(接触毒)。薬剤によって忌避性の有無(シロアリが薬剤を本能的に避けるかどうか)、即効性か遅効性かに分かれます。

忌避性があって即効性の薬剤はシロアリが寄って来ず、万一接触してもすぐに駆除できるので、現状被害がなく予防するのに適します。

忌避性がなく遅効性の薬剤はシロアリが避けず薬剤に接触し、また遅効性のためその場では死なず、巣に帰り仲間に接触することで巣ごと一網打尽にすることが可能。なのですでに被害があって駆除とその後の予防を兼ねる場合に適します。

以下、個人使用を想定して、入手が簡単で人への安全性が高いものをピックアップしました。 

 〈ピレスロイド系〉

蚊取り線香と同類の成分。忌避性があり、即効性の薬剤。人やペットの安全性は高い。魚には毒性があるので注意。


・シラフルオフェン(商品例:水性アリシス、白アリスーパー21)

ピレスロイド系の弱点である魚への毒性を低下させ、さらに安定性(光、土壌中、アルカリ)を向上させた新しい成分。

製品には水性(水性アリシスなど)と油性(白アリスーパー21など)があり、溶剤の臭いがないことと、取り扱い安さから水性の方が便利です。

 

〈ネオニコチノイド系〉

非忌避性で遅効性。昆虫のみに効果があり、人やペットには安全性が高い。

・ジノテフラン(商品例:ミケブロック、ジノテクト)

 

バリア法に使われる薬剤は他にも種類がありますが、人への害の強いものになってくるので、素人向けの安全な薬剤は上記2種類からの選択になるかと思います。上記いずれの薬剤も施工が正しく行われれば5年ほど効果が持続するようです。 

ただ素人DIYの場合は、ネオニコチノイド系薬剤一択といえるのかもしれません。というのも忌避性のあるピレスロイド系薬剤の場合、しっかりと全面に施工できないと塗り足りなかったり、塗り残した部分をシロアリに狙われてしまうため。忌避性がないネオニコチノイド系薬剤であれば、シロアリが気づかずに薬剤に接触して死んでいくので、塗り残しによるリスクが低いです。床下というただでさえ身動き取りづらい場所で塗り残しなくキッチリ施工するのはやはり素人には困難ですよね。

という理由から、私のおすすめはネオニコチノイド系薬剤で、平米単価の最も安いミケブロックです。土壌用のものと、木材用に防腐剤も含んだものがあります。水性なので扱いやすく、安い農業用蓄圧ポンプで撒けるし(使用範囲外でしょうが)、超低臭性なのも素人にグッド。

〈散布に使う道具〉

本来の用途ではないはずですが、肥料や農薬を撒くための蓄圧式噴霧器が廉価で販売されています。

もちろん、散布時には被ったり、吸い込んだりしないよう、防護服、防毒マスク、保護メガネなど万全の対策を!

ベイト法

毒エサを設置。毒エサを巣に持ち帰らせ巣ごと全滅させる方法。ゴキブリやクロアリ駆除でも使いますよね。

〈使用薬剤〉

おびき寄せて巣に持ち帰らせて駆除するので、食べて効果が発揮される薬剤で、忌避性がなく、遅効性のものを使用。

<ベンゾイルフェニルウレア系>

これは昆虫の脱皮を阻害する成分。なので脱皮をしない人畜には安全な成分です。

・ビストリフルロン(製品例:シロアリハンター) 

設置するだけで済むので作業が簡単、かつ安全性も高い。というと素人には良さそうですが、設置箇所の選定や定期的な効果チェックと、シロアリの習性を熟知した施工と管理が必要なので、むしろプロ向けと言えます。

ですので、素人DIY的には「現状は被害がなく、床下に薬剤散布は困難なので簡単に予防したい」こんな場合にベイト法は適していると思われます。ただし設置が完璧かどうかはわからないので、完全にシロアリがシャットアウトできているかどうかの床下確認は定期的に必要でしょうね。

その他

スプレータイプの薬剤がいくつか販売されています。家庭用でアース製薬の「シロアリアース」や、フマキラーの「シロアリジェットプロ」など。お手軽で安全性も高いのですが、どうしても一部分だけの処理になるので自宅丸ごと防御とはならず、また効果持続期間も短い(半年〜一年)ので急場しのぎにしかならないですね。

 

まとめ

シロアリ対策は一にも二にも床下の健康!恐ろしいシロアリですが、基本的にはとても弱い生物です。健全な床下が維持できていればシロアリが寄ってくることはありません。チェックさえしていれば薬剤処理は不要、という業者もいらっしゃるほどです。

床下に入ったことのない人にとっては、床下というブラックボックスがどんな状況になっているか?見えない恐怖があるだろうと思います。自分でシロアリ予防DIYしようと考えている人もそうでない人も、一度は床下を見てみると心の持ちようが全然違うと思いますよ(床下への入り口から下を除くだけでも)。かくいう私も一度家の床下を一度全面見て回ってからは床下への抵抗感もなくなり、さらに我が家はここが湿気がたまっているなと、身をもってリスクのある箇所を理解することができました(我が家の場合は風呂からの水漏れがありました、この記事です)。

床下の定期的な健康診断と薬剤による予防処理の二重の予防線で大切な我が家をシロアリ被害から守りましょう!もちろん、素人DIYには限界がありますから、被害が進行していたり、床下の状態が良くなければ無理はせず専門業者に依頼する決断も必要だと思いますよ。