こんにちは、まねきねこです。
当ブログ、自給自足の真似事をしているわけですが、一番PVの多い記事が、エキスペラー式搾油機をまとめた以下の記事。
で、どうも検索ワードからすると、オリーブオイルを自宅で搾りたい方が多く来てくださっている様子。そのくせ当該記事には、「PITEBAならオリーブオイルも搾れるよ」の一言のみ、、
来て下さる方を期待させておいて申し訳なく、そんな中オリーブオイル用搾油機の新商品が発売されたこともあり、今回まとめました。
ご参考になれば幸いです。
オリーブの搾油と普通の搾油の違い
家庭用の機械でオリーブオイルを搾れる製品はほとんどありません。なぜなら、オリーブオイルはほかの油と作り方が少し違うから。
普通の搾油原料は乾燥した種やナッツを原料としますが、オリーブオイルは水分をたっぷり含んだフレッシュなオリーブ果肉を使います。
基本的には原料を細かくして、圧力をかけて搾るのは一緒。ですが、種やナッツは硬くて水分がないので、高い圧力さえあれば容易に油がとれます。対してオリーブの場合は、潰した果肉は柔らかいペースト状で固液分離しにくく、また搾り汁は水分と油分が混じっています。
ナッツ、種系の搾油は「搾る圧力の大きさ」がポイントですが、オリーブの搾油の場合、「固体と液体の分離」さらには「水と油の分離」にポイントがあるようです。
なお現在、工業的なオリーブオイルの作り方は、潰した果肉を遠心分離機で超高速回転させ、果肉、油、水をそれぞれの重さの違いで分離して油を精製するのがほとんどだそうです。
日本で買える、家庭用オリーブ搾油機
家庭用のオリーブ搾油機といえるものは2つしかありません。
①PITEBA(本体+オプションパーツ):1万8200円前後
ナッツや椿の実など幅広く搾油できるオランダ製の搾油機PITEBA。オプションパーツ(D2ナット)を使えばPITEBAのみでオリーブオイルが搾れます。
ただし、原料となるオリーブの種類(品種)によっては、果肉とオイルを分離するための圧搾工程が追加で必要になるとのこと。
PITEBAのみで搾油可能なオリーブの品種について、残念ながらPITEBA公式HPには具体的になっておらず、目安として「種が大きく、果肉の少ない品種」とのことです(小粒で含油率の高いルッカやアルベキナ、フラントイオなどが適するのでしょうか*1)。合うかどうかは実際にやってみないとわからないよ、というかなりの丸投げっぷりです。また、搾油率は不明です。
この条件に合わないオリーブの場合、PITEBAでできるのはオリーブペーストを作るところまで。オリーブペーストを圧搾してオイルを搾る工程以降は、圧搾機を別途入手するか、搾油率が落ちますが、さらし布で包んで手でギューッと絞ることでも可能と思われます(ただ、ペーストにするためだけにPITEBAを使うのは正直あまり意味がないような、、)。
というわけでPITEBAの購入にあたってはご自身のオリーブに合うかどうか、若干の博打要素がありますので、「オリーブ以外の搾油も興味あるよ!」という方におすすめしたいと思います。
②SHIBOROオリーブ&ジュースとオリーブ攪拌機:22万6800円
2017年10月末、家庭用搾油機メーカーの石野製作所さんから新発売された製品です。
圧搾機と攪拌機が別々の製品になっています。
オリーブオイルを搾る工程としては、①粉砕(オリーブをペースト状に)、②撹拌(油同士をくっつけ搾りやすくする)、③圧搾(水と油が混じったオリーブジュースを圧搾)、④沈殿ろ過(水と油の分離と雑物除去)が必要とのことですが、このほど発売されたのは、②オリーブペーストを撹拌する攪拌機と、③オリーブペーストを搾る圧搾機。
なお、工程①の粉砕にはフードプロセッサーが、④には分液ロートが推奨されております(家庭で4工程の機械一式揃えるのはなかなかのハードルですね、、)
搾油率はオリーブ重量の5〜8%とのことですので、オリーブがもっている油の大体3分の1ほどがとれる計算です。
なかなかのお値段ですが家庭用にあっては搾油率が高いので、オリーブオイル作りを生涯の趣味とする方におすすめいたします。
しかしどちらをとっても、オリーブオイルを搾るのは一筋縄にはいかないようですね。
番外編:家にあるものでオリーブオイルが搾れる!簡易搾油法
機械で簡単に家庭でオリーブオイルは簡単なことではないようです。しかし、そもそもオリーブオイルは果肉の中の油を取り出すため大きな力を必要とせず、実は根気さえあれば簡単なもので取ることができます。
「農家が教える手づくり油読本」を参照し以下ご紹介。
〈材料〉
- ジップロック…2枚
- 1〜2Lのペットボトル…1本
- キッチンペーパー…数枚
- 種付きの完熟オリーブをジップロック2重に入れて閉じる
- 粗く実を潰しながら、手でひたすらモミモミする(1時間ほど)すると油が分離して浮いてくる
- ペットボトルを真ん中くらいで横に切って、上側を使う。逆さにして注ぎ口にキッチンペーパーを詰めてろ紙のかわりに。
- ペットボトルの下側を置いて、その上に3をセット。3の中に潰したオリーブを入れて果肉とオイルを分離する。圧力はかけず自然に油が落ちきるまで放置
- 水が混じってるので油の層のみをすくい取る
- エキストラバージンオリーブオイルの完成!!
この方法だと、オリーブ重量に対して0.5〜1%のオイルがとれるそうです。
オリーブの含油率は20%ほどあるようですから、SHIBOROと比較してもやはりロスは多いですね。でもお金はかからないし、まずは物は試しなら十分ありではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
まずは簡易の手搾りで手作りオリーブオイルを味わって、「こんなもんかな」と思ったらそれまで。「これはスゴイ!!」と思ったら機械の購入を検討されてはいかがでしょう。
PITEBAはお手持ちのオリーブに適合するかはわかりませんが、他にも色んな油が楽しめますし損は無いと思いますよ。オリーブオイルをきっかけに、いろんなフレッシュオイルを楽しんでみては?
かく言うわたしはこの記事を機に、まずオリーブを植えるところから始めたいと思います!
桃栗三年、オリーブは何年?
それではまた!
アルベキナはオリーブオイル用の最高級品種だそうで、しかも小粒でPITEBAに適していそうなので第一候補かな。